Friday 28 August 2020

「い」

 汗まみれの体に虫だらけの真夏。3週間前、庭に植えた草はもう枯れてしまった。今の降っている小雨、もう少し前に訪れてくれればよいのに。で、私も水をやればいいのに。毎日クーラーで作り上げた涼しい環境で外の生き物を眺め、眺め、眺め続ける無責任の私は草に申し訳ない。

罪悪感を感じた今、私は水筒に残っているわずかな水を外に持って行って、あの救えない草にやった。飲んでたのかな。もう完全に枯れ切ったなのに。この哀れな荒廃した庭、ちっとも気に入らない。にもかかわらず、トンボはあっちこっちに飛んでいて、庭で鬼ごっこでも楽しそうに遊んでいる。こんなのは見たくもないのだが、目が引かれている。

Wednesday 19 August 2020

「ろ」

 残暑の下に、私は久しぶりにアスファルトと向き合った。その眩しい昼間に琵琶湖の強い風、紙で作られたわけでもない私が自転車から転んでしまった。幻ではないかと思う私は後ろからの「大丈夫ですか」をはっきり聞いていた。今でも、脛に貼ってあるアンパンマンデザインのきずテープやももの青あざが証拠として残っている。

私は「ごめんなさい」と言った。「大丈夫」じゃなくて、「ありがとう」じゃなくて、落ちたぼうしを拾ってくれた人に「ごめんなさい」と言った。あれ、なぜ私が誤ってたのか?痛いのはこちらなのに?知らずに私は私を責めてしまった。弱くて情けない、もっとも嫌な気質がまさか最初から身に付けているとは。その後、体が震えている原因は擦り傷の痛みではなかったかもしれない。

Friday 14 August 2020

「は」

 私、20年遅れたかもしれない。かつて子供たちが持っていた夢、なおさらこの瞳の奥に輝いている。希望は光っているのなら、その陰に眠っているのは絶望。誰かが送ってくれた幸せはいずれに去っていくのだろう。どのくらいかな、微笑みの飾れる時間。

わたがしのように、貴方への思いが甘く、柔らかく、たまらない。すぐ溶ける糖分が体中に盛り上がり、これが幸せだとばかりに雲より遠い場所まで連れて行く。けれど空に飛んでいても、見つかるのはただ白い白い飛行機雲。金色の雲はどこにある?

いつも手に入れないものばかりが欲しい。目の前に伸ばしてきた手をよそに、私はその伸ばそうともしない腕しか望んでいない。

Saturday 8 August 2020

「に」

░独░り░で ░考░え░て░し░ま░う░よ░ね░ ░か░す░か░な░明░か░り░が░身░を░照░ら░し░て░い░る░ ░隣░の░空░い░て░い░る░部░屋 ░誰░も░歩░い░て░い░な░い░廊░下 ░今░夜░は░意░外░と░寂░し░く░感░じ░て░い░る░ ░何░も░か░も░ ░思░い░の░な░い夏░休░み ░刹░那░に░開░く░花░火░よ░り░短░く░て░眩░し░い░ ░目░覚░め░な░