Wednesday 19 August 2020

「ろ」

 残暑の下に、私は久しぶりにアスファルトと向き合った。その眩しい昼間に琵琶湖の強い風、紙で作られたわけでもない私が自転車から転んでしまった。幻ではないかと思う私は後ろからの「大丈夫ですか」をはっきり聞いていた。今でも、脛に貼ってあるアンパンマンデザインのきずテープやももの青あざが証拠として残っている。

私は「ごめんなさい」と言った。「大丈夫」じゃなくて、「ありがとう」じゃなくて、落ちたぼうしを拾ってくれた人に「ごめんなさい」と言った。あれ、なぜ私が誤ってたのか?痛いのはこちらなのに?知らずに私は私を責めてしまった。弱くて情けない、もっとも嫌な気質がまさか最初から身に付けているとは。その後、体が震えている原因は擦り傷の痛みではなかったかもしれない。

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